世界的写真家スティーブ・マッカリーが、写真哲学から愛用するライカSL3、そしてオーバーワースの高級カメラバッグまでを語るインタビュー。
スティーブ・マッカリーとは誰か?
アフガニスタンの少女を撮影したポートレート作品作品などで知られる スティーブ・マッカリー(Steve McCurry)は、 フォトジャーナリズムの象徴的存在だ。 鮮やかな色彩と人間ドラマに満ちた表現で、世代を超えて写真家たちを魅了し続けている。この対談では、マッカリーが写真、旅、そしてレンズの向こう側の人生について語る。
コダクローム時代が今も生きる「露出の厳密さ」
コダクローム時代を振り返って、アナログ時代のどのような美学や精神的習慣が、現在もあなたのデジタル作品に影響を与えている?
マッカリーが真っ先に語ったのは、フィルム時代に培った露出管理の感覚。「コダクロームは精密さを要求するフィルムだった。その習慣は今もデジタルに受け継がれている。」 マッカリーはデジタル時代になっても、露出をわずかに抑えることで豊かな色彩表現を追求し続けている。
コダクロームの最後の1枚を撮影することで、選択、規律、「決定的瞬間」の感覚について何を学んだか?
「正直なところ、あまり感慨はなかった。コダクロームは当時の標準的な道具に過ぎなかったから。車が登場するまで人々が馬に乗っていたのと同じように、デジタルは自然な次のステップだった。」
人物写真の核心は「時間」と「敬意」
パーソナルスペースを侵害することなく、わずか数分で親密で印象的なポートレートを撮影するには?
世界中で数分の出会いから生まれる彼のポートレート。その背景には明確な哲学があります。「時間を共有し、相手に安心感を与えること。それが本物の表情を引き出す鍵だ。」 人を撮るということは、単にシャッターを切る行為ではなく、信頼関係を築く時間そのものだとマッカリーは強調する。
一枚の写真と文脈の力
一枚の写真に、それ自身の声を宿らせる瞬間は、どんなとき? 逆に、写真が真実を余すところなく伝えるためには、文脈やメッセージ、あるいはシリーズとしてまとめる必要があるのは、どんな場合なのか?
「写真は単独でも成立するが、キャプションや文脈は鑑賞者の理解を深める。美術館でも解説が添えられるだろう?」 スティーブ・マッカリーにとって、写真は物語を語る媒体であり、そこにテキストが加わることで世界観がさらに広がるのだ。
賑やかでカラフルな光景の中で、混沌の瞬間に静かな構図をどう見つけるのか?
「それは主に直感と練習によるものだ。経験を重ねるうちに、最も活気に満ちた混沌の中でも、調和と構図の感覚を自然に身につけられるようになる。」
何十年もの間、世界を旅してきた中で、あなたの好奇心や写真への眼差しは、どのような問いを持ち続けてきたのか?
「人生そのもの。人々や場所、異なる文化圏で繰り広げられる日常について、尽きることのない好奇心を抱き続けている。」
現在を維持し、マインドフルでいるために、旅の中でどんな小さな習慣が役立っている?
「特に決まった習慣はないが、空港には時間通りに行くようにしているよ。」
若い頃のアフガニスタンでの撮影と比べて、リスクに対する考え方はどう変わったか?
「リスクを取る意欲は年齢とともに変化する。若い頃は、特にアフガニスタンではリスクを冒すことに積極的だったが、今はもっと慎重になったよ。状況や人それぞれなので一般的なアドバイスは難しいけれど、意識と準備は不可欠だ。」
自分のモチーフや構図が繰り返しになり始めたと気づいた時、どのように視点をリセットすればいいのか?
「繰り返しについてはあまり気にない。人生は短い。重要なのは、そのアプローチが写真家にとって本物で創造的であるかどうかが重要。それさえあれば十分だ。」
愛用機材:ライカSL3と万能ズーム
現在の愛用機材はライカSL3と24-90mmズームレンズ。 「シンプルで、ほとんどの状況に対応できる万能な組み合わせ。」 機材を削ぎ落とすことで、より自由に写真表現が可能になるという。
カメラバッグはどのように整理している?
「カメラ、レンズ数本、バッテリー、メモリーカード、パスポート。それ以上凝ったことは何もしていないよ」
カメラバッグ「エドワード」や新しいカメラバッグ「シグネチャーライン」は職人技とデザインの頂点だと高く評価している。